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日東製網株式会社

漁網から陸上ネット、宇宙ゴミ回収まで

  • 写真(会社説明の動画を見る参加者(福山本社会議室))

    会社説明の動画を見る参加者(福山本社会議室)

  • 写真(福山工場見学の様子1)

    福山工場見学の様子1

  • 写真(福山工場見学の様子2)

    福山工場見学の様子2

  • 写真(福山工場見学の様子3)

    福山工場見学の様子3

  • 写真(質疑応答の様子(福山本社会議室))

    質疑応答の様子(福山本社会議室)

事業内容

漁業用・陸上用の無結節網、有結節網、綟(もじ)網、ロープなどの製造・販売、船舶・漁労関係省力機械器具などの商品・水産物の販売

資本金

13億7800万円

所在地

(福山本社・福山工場)福山市一文字町卸町14-14
電話番号 084-953-1234(代表)
事業所 東京本社・高岡事業所・函館工場ほか

従業員

270名

関係会社

株式会社泰東、日東ネット株式会社、多久製網株式会社、日本ターニング株式会社ほか9社

会社説明

1910年(明治43年)に創業した日本有数の漁網メーカーです。創業者の小林照旭氏が、網目の交差部分に結び目のこぶがない無結節網の組編機を開発し、無結節網の工業生産を可能にしました。

漁網分野では定置網やまき網、ひき網、養殖網、ノリ網など、漁法・魚種に応じた網を製造しており、海外にも輸出しています。

また防虫網や防球ネット、土砂崩れ防護用のネットなど陸上用の網・ネットも幅広く手掛けるほか、最近では宇宙ゴミ(デブリ)に付けるとデブリが大気圏に落下して燃え尽きる電導性のひも「網状テザー」をJAXAの依頼で開発。実用化に向けた取り組みが続いています。

福山工場を見学

訪問した福山本社では、会議室で会社紹介の動画上映を視聴後、本社に併設した福山工場を見学しました。福山工場ではまず原糸を束ねてより合わせ、強度を備えた太い糸の束にして、網の材料にします。最大の太さの物では400本の糸がより合わさっているそうです。原糸は仕入れたものを使うだけでなく、樹脂から用途に合わせた材質・太さの原糸を自社製造することもあるそうです。

より合わせて束ねた糸は糸巻きに巻かれ、編み機で網状に加工されます。福山工場ではさまざまな大きさの無結節網を製造する自社製のK式組編機が30台以上稼働しています。ドーム型の外観が特色で、編機のあるエリアに近づくと1台1台異なるペースで小気味よく「ガチャガチャ、バンバン」と音を響かせ、糸巻きをときどき交換する以外は自動で網がどんどん編まれていました。ほかにももじ網など異なる網目の網の製造や熱処理など網の表面処理加工も見学しました。

最後に、最近力を入れている、原料の一部に金属を使った網の製造ラインも見せていただきました。昔製造していたが一時期廃れていた物を復活させたそうです。重みのある漁網は、まき網漁法などで狙った魚の群れを逃がさないように素早く網を沈めることができます。波や潮流にも流されにくく、価格は割高でもニーズがあるそうです。

工場で稼働する機械は自社製も多く、機械の設計・製作・製造・設置工事まで一貫して行える技術力が、日東製網の強みになっていると感じました。

取材を終えた感想

強度が高く、軽量でかさばらない無結節網を実用化するなど、製造技術に強みのある企業という第一印象でした。実際、設備投資は維持修繕を含めると年間4億円以上費やしており、収益につながれば中長期的な設備投資・研究開発も積極的に取り組んでいるそうです。

しかし、例えば定置網は現地調査を含めた最適な漁場の調査や漁場に合わせた網の配置設計も行うなど、規格化された商品を売るだけでない、ソフト面でも強みを備えた企業という印象に変わりました。

またグループ会社を含めて水産物流や魚の販路開拓、漁業関連機械・資材の販売、海洋調査などを通じて水産業を総合的にサポートしており、漁業者のよきパートナーになろうという企業姿勢は好感が持てました。

宇宙ごみの対策の網状テザーもJAXAからの高い技術要求にめげず、失敗を繰り返しながら試作品の製造を成功させた話からは、失敗にめげず挑戦を続けることの大切さを学んだ気がします。網状テザーが早く実用化され、宇宙ごみ対策に貢献できる日が来ることを願っています。